保育AIは現場でどう使える?「認定こども園さくら」が体感した『すくすくレポート』の可能性

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    いち早くICTを取り入れ、様々な取り組みを行う栃木県の「認定こども園さくら」に、保育AIのひとつ「すくすくレポート」を体験いただき、今後の活用案について伺いました。保育現場の記録作成負担を軽減、次の活動を支援するAIシステムの実力と課題とは。

     

    【保育AI「すくすくレポート」とは】

    保育総合ICTサービス「ルクミー」の機能のひとつ。

    AI(人工知能)を活用して園児一人ひとりの成長記録を自動で要約。「ルクミー」の写真や連絡帳などの記録データから、お子さまの「育ち」を要約し自動的にレポートにまとめて可視化します。

     

    認定こども園さくらの保育士による「すくすくレポート」評価

    今回、「すくすくレポート」を体験いただいた保育士3名(関口友香理先生・関口さりな先生・森田先生)に、まずは率直な感想を伺いました。

    【保育AI「すくすくレポート」への感想】

    • 個人の活動の「全体まとめ」は、おおむねその子の活動や特徴を表現できていると感じる。大きな誤りもなく納得感がある
    • 今回例としてみたA君に日ごろから見られる遊び(ブロック・制作など)を捉えている
    • クラス活動の「全体まとめ」も、行事やクラスの様子が記されている
    • AIのまとめを見て「そういえばそうだった」と細部を思い出すきっかけになった
    • 運動会のためにこどもたちが自ら考案したカードゲームについて、AIが写真から解釈した内容が、意図した遊びの側面を正確に捉えており驚いた
    • それぞれに行事の名称があるので、ルクミーの「カレンダー」のデータと日付等で一致できるとなおよいと感じる

    先生の意見から、遊びや行事、クラス活動の様子の記録や分析に対して「すくすくレポート」には一定の精度があることがわかりました。

     

    保育AI「すくすくレポート」を活用できるシーン

    「すくすくレポート」が実際の日々の業務の中でどのように活用できるのか、先生方のアイデアを聞いてみました。

    【すくすくレポートを活用できるのは?】

    • 幼児(3~5歳)の指導要録や乳児(0~2歳)の月次成長記録の「たたき台」として便利。作業の時短につながりそう
    • クラスや個人の「キーワード」から、なにがこどもにヒットしているのかが瞬時にわかる。次の活動のヒント・ひらめきになる
    • 同じ「キーワード」が別のクラスにもあるならば、たとえば4歳児クラスと5歳児クラスで一緒に同じ活動ができるのではないか、と予想がつきやすい。学年を超えた活動案につながる

    先生方の次の活動計画立案のヒントや、こどもの活動を捉える視点そのものを保育AIがアシストできる可能性があるとわかりました。ちょっとした瞬間や活動、こどもの表情もAIが写真から読み解けることで先生方の会話を弾ませるきっかけにもなることも確認できました。

     

    発想を広げる保育AI、今後への期待

    「すくすくレポート」をはじめとする保育AIに対し、今後への期待や保育士の視点から危惧する点・活用上の留意点もうかがいました。

    【今後の期待・ポイントとなる点】

    • 「キーワード」がとても分かりやすいので、「キーワード」から発展するアイデアも提示してくれると発想の広がりにつながりそう
      例)「砂遊び」→山づくりなのか水と砂の組み合わせなのか、4歳児と5歳児で興味は同じなのか違うのかなど
    • 遊び・活動の概要は申し分ないが、実際の記録や保管書類には「成長」についての記載も必要
    • 保護者に説明するためにはディティールの肉付けが必要
    • 新人保育士が文面を鵜呑みにしてしまうことが懸念。まずは自分で書いてみて、足りない点をAIが作った文面等で補うといった利用法がベター

    AIにはデータに基づいて活動のアイデア出しを支援する「提案機能」が期待されていますが、それは決して「決めつけ」や「断定」であってはなりません。AIの視点からの提案は、先生方の「ひらめき」や「気づき」のヒント、時には壁打ち相手となり保育の幅を広げるサポートをする必要があります。

     

    まとめ

    AIシステムは、保育者の記録業務の負担を軽減するとともに、先生方が見過ごしがちなこどもの行動に光を当てるなど、客観的な視点を提供します。しかし、AIがもたらす情報がどれほど優れていても、それを保育の実践に落とし込み、発展させ、保護者や他の職員と共有していくためには、AIに対する保育者の理解が必要不可欠です。

    保育者アシスタントAIとしてデータの分析や「たたき台」作成、壁打ち相手の役割を担い、保育士がその情報を基に日々の業務の軽減や、次の計画を創造する。この協働関係こそが、保育の質を向上させる鍵となりそうです。

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