【独自戦略】書類削減は二の次に!「光の森保育園」が保育ICTで実現したチームワーク向上の秘策とは?

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    ICT導入の目的は「書類削減」ではない——。光の森保育園が目指したのは、職員一人ひとりのスキルアップではなく、「施設全体のチームワーク」の向上でした。既存のiPadやGoogleサービスを徹底活用し、欠席連絡の電話確認負担を軽減し、申し送りミスを劇的に減らした独自の戦略に迫ります。

     

    推進の背景:書類削減ではなく「チームワーク向上」を目指す価値

    光の森保育園がICT推進で目指す目的は、一般的に重視されがちな「書類の事務負担の低減や連絡手段」に留まらず、「保育の質をどう高めていくか」という点に重点が置かれています。

    ICT活用によって「施設全体として職員の連携力、チームワークをどう上げていけるか」を追求しています。そのために最も重要なのが、「職員全員がきちんと、同じ情報を共有できる」状態を作ることだとされています。また、ICT化だからといって全てを導入するのではなく、キャッシュレス決済など、自園の現状には必要性の低いものはあえて導入しないという「取捨選択」を行っていることも強調されました。

     

    情報共有と業務効率化を実現する具体的な仕組み

    (1) 全職員の情報共有を可能にするコアツール

    職員全員に配布されたiPadは、情報共有の基本ツールとなっています。

    • Google Photoは、職員が日々の保育活動の写真を撮り、それを全職員で即座に共有しています。これは、お互いのクラスの活動を理解し、保育の振り返りやチームワーク向上に活用されています。保護者向けには、玄関のディスプレイで自動的にスライド表示もしています。
    • Gmailは、欠席連絡、出席表の確認、遅番と早番の間の情報伝達など、日々のルーチン情報を共有しています。欠席連絡がない場合は、保護者へ自動メールが送信される仕組みも自作し、電話確認の負担を軽減しています。
    • X(旧Twitter)は、保育園内の業務連絡(遅刻、薬の預かりなど)や、災害時の情報(電車の運行状況など)の共有に使用しています。これは非公開アカウントとして運用されています。

    (2)伝達ミスを減らし、教育負担を軽減する仕組み

    • 申し送り: 遅番が手書きで書いた伝達表をスキャンし、Gmailで全員に一斉送信しています。これにより、「誰かが見たから」というミスが減るとともに、職員が好きなタイミングで確認できるため、申し送りの抜けを防ぎます。
    • 動画マニュアル: 新入園児向けの説明会資料や、アレルギー対応、汚物処理などのマニュアルを動画で作成しています。これは口頭での説明よりも理解が容易になり、職員の教育負担を軽減しています。
    • 行事準備: 運動会などの行事準備ファイルも共有し、全員が情報を確認できるため、担当職員への負担集中を防いでいます。

     

    定着への工夫:初期導入戦略とセキュリティ対策

    ICT導入の初期段階では、ハードルを下げるため、本来は非推奨である「一つのアカウントで全員が共有」という方法をあえて採用しました。

    • セキュリティ対策として、指紋認証機能があり、紛失時にリモートロックや情報削除が可能なiPadを選定することで、最低限のセキュリティを確保しています。

     

    未来への展望

    • 今後の移行: 今後はGoogle Workspace for Educationのような、職員一人ひとりにアカウントを振り分けてマスターが管理する、より高度なセキュリティ体制への移行を検討しています。

     

    まとめ

    光の森保育園の取り組みは、高度なシステムではなく、「今あるサービスを活用しながら、ちょっとずつチャレンジ」し、職員がその良さを実感することで、自然に文化として定着させてきた過程が重要であると述べられました。ICTの活用は「情報共有するだけ」で、職員間の助け合いを促す「ツール」としての役割を果たすことを強調されました。

    6.現場からの提言:ICT化を全国に普及させるために

    • ICT補助金が、iPadを一人ひとりに与える費用に使えないため、補助金制度の改善を要望しています。
    • また、iPadの価格高騰も導入のハードルになっています。

     

    光の森保育園

    • 園児数:100名
    • クラス数:6クラス
    • 保育士:29名
    • ICT導入時期:2014年4月ごろ~順次導入
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