【埼玉県】保育ICTラボ事業における取組紹介② ICT活用を自治体から推進|埼玉県が挑戦する広域支援のかたち
埼玉県では、保育現場の業務負担軽減とICT活用の促進を目的に、「保育ICTラボ事業」に取り組んでいます。
▶埼玉県の保育ICTラボ事業の全体像は【こちら】
▶取組内容前編は【こちら】
本記事では、その続編として
- モデル園のICT活用事例の発信
- 自治体向け見学会・意見交換会
- 成果報告会
についてご紹介します。
(1)モデル園のICT活用事例の発信

モデル園への訪問を複数回実施し、ICT導入から定着に至るまでのプロセスをヒアリング。
導入時に直面した課題や、現場での工夫・解決策を整理し、県内保育施設・自治体へ展開するために、ポイントを動画として発信しています。
動画テーマ
- 保護者連絡のデジタル化
- インカム活用による園内連携強化
- 職員間の情報共有方法の改善
単なる「導入事例」ではなく、「どんな壁があり、どう乗り越えたか」という課題切り口の視点でまとめることで、他園・他自治体が具体的にイメージできる内容としています。
動画はこちらからご覧いただけます。
(2)自治体向け見学会・意見交換会
県内保育ICT推進のための、自治体向け見学会・意見交換会を実施しました。
- 開催日:2026年1月21日(水)
- 参加自治体:上尾市、さいたま市、白岡市、埼玉県
①モデル園でのICT導入事例見学
場所:西大宮青藍保育園
参加者の関心が高かったポイントを中心に、具体的な運用方法を確認しました。
- 登降園打刻用タブレットの設置場所・台数
- 保護者の打刻導線と日々の運用方法
- 保護者向け情報発信の運用(システム配信+園内掲示の併用)
- インカム活用の実際(登降園状況確認、不審者訓練、活動時の連携など)
実際の動線や使用場面を見学することで、「ICTがどのように日常業務に組み込まれているか」を体感いただきました。その後の質疑応答では、以下のような内容について質問があり、参加自治体の皆様は熱心に耳を傾けられました。
● ICT導入・定着の進め方
- 「小さく試す」を繰り返す
- 「できるところまでで良い」と伝え、心理的ハードルを下げる
- ICTシステムの練習・移行時間を確保する
● 園内コミュニケーション
- LINE WORKSを導入し、伝達事項を見える化
- 情報共有の抜け漏れや理解度の差を縮小
● 休憩・ノンコンタクトタイム
- ノンコンタクトタイム(保育士が勤務時間内に子どもと直接関わらない時間)をシフトに組み込む
- 休憩室環境の整備・体制表作成で休憩時間を確保
→ クラスを超えた交流や組織文化の醸成にも寄与
②自治体間での意見交換
見学会後、参加自治体による意見交換会を実施しました。

主な議題
- 各自治体の現状共有(導入状況・課題)
- ICT定着の進め方(段階的導入・心理的ハードル対策)
- 端末・ネットワーク環境(セキュリティ・写真データ管理)
- 保護者対応・情報発信(ドキュメンテーション・写真販売)
- 働き方の工夫(休憩時間の確保)
- 国の動向への対応
- 保育業務施設管理プラットフォーム・保活情報連携基盤の活用予定
ICT化推進等事業(補助金)や保育ICT協議会について
自治体間で率直に課題を共有し合うことで、「一自治体だけでは解決が難しいテーマ」に対するヒントが生まれる場となりました。
■ 参加自治体からの声
- 見学したICT活用事例は、自治体の保育ICT推進におけるロールモデルとして非常に参考になった。
- 現場の余裕のなさは、人間関係や保育以外の業務負担にも要因があると感じている。今回の視察では、ICTをきっかけにそれらの課題と向き合っている姿勢が印象的だった。
- 今回のICTラボ事業の取組を持ち帰り、少しでも多くの施設の状況改善につなげたい。
(3)成果報告会

- 日時:2026年2月6日(金)13:30~15:30
- 会場:ソニックシティ市民ホール
- 参加者:40名
■ 基調報告
冒頭、埼玉県こども支援課 課長 山崎様より開会のご挨拶があり、その後、当協会代表・三好より、
- 保育ICTの最新動向
- 今年度の埼玉県における保育ICTラボ事業の取組
について報告しました。
■ モデル園トークセッション

西大宮青藍保育園の園長と三好によるトークセッションを実施。
開園当初からICTを導入してきた実践が語られました。
導入当初は「業務負担軽減」が目的でしたが、
- 「楽をするためのICT」という空気が生まれた
- 業務効率化が必ずしも保育の質向上に直結しなかった
という率直な振り返りが共有されました。
その後、
- 保育の質向上を目的にドキュメンテーションを導入
- 現場職員の抵抗感に対して丁寧に説明し、小さく始めた
- 保護者公開を開始すると、出来栄えを気にして時間が増加
- 職員だけでなく、保護者にも目的を繰り返し説明しながら改善
といった、現場ならではのリアルな試行錯誤が語られ、参加者が大きく頷きながら聞き入る場面も多く見られました。
■ 意見交換
後半は少人数グループでの意見交換を実施。
- 施設側からは「自治体ごとの案内の違いに対応の難しさを感じている」との率直な声
- 自治体からは制度運用の背景や見解の共有
- 養成校職員からは「実習オンラインシステムは学生にはメリットがあるが、受け入れ園の負担はどうか」という問い
など、立場を越えた対話が行われました。
■アンケート結果

施設向けの参加者アンケートでは、96.8%がイベント全体について、「非常に満足」「満足」と回答しました。
- ICTをどのように活用していけば良いか迷っていたが、道が見えてきた
- ICTを活用している園の具体的な内容を聞いたり問題にあたった時の対策についても聞くことができた
- 他園の取り組みなど参考になりました
といった声が聞かれました。
また、参加自治体からは
- 他の自治体の情報収集が出来た
- 実際に導入〜運用を引っ張った園長先生のお話が聴けてよかった
- 国の動向、県内自治体の動向を知る事ができた
との声が聞かれました。
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