【静岡県 認定こども園みのり幼稚園】「使える」から「活かす」へ ― 保育の質向上を見据えたICT活用
こども家庭庁 保育ICTラボ事業において、静岡県ではモデル園である、学校法人みのり学園認定こども園 みのり幼稚園と共に、先端的なICT活用のロールモデル創出と、そのプロセスを公開する「ショーケース化」に取り組みました。
本ページでは、現場での伴走支援から実践、そして見学会による展開までの一連の取り組みを紹介します。
伴走支援:現場の「実態」と「本音」から始める
取り組みのスタートにあたり、職員アンケートを実施したところ、8割以上の職員がICTを業務で利用している一方で、約4割が「苦手意識」を抱えていることがわかりました。
こうした状況を踏まえ、本取り組みでは、「職員全体で少しずつ関わりながら活用を広げる」方針で伴走支援を行いました。外部支援者が定期的に園を訪問し、日々の業務の中での小さなつまづきを解消しながら、実践と振り返りを繰り返していきました。
実践:保育の本質を支えるICT活用
ICTを「使うこと」が目的にならないよう、「何のために活用するのか」を共有しながら取り組みを進めました。
1.AI活用による保護者への連絡業務の負担軽減
保護者への連絡時における言葉選びに悩む職員の心理的ハードルを下げるため、保育ICTシステム「パステルApps」の出欠連絡機能に搭載されているAIを文章校正や翻訳の「下書き役」として活用。40%の職員が「連絡がしやすくなった」と回答し、ちょっとした言葉遣いを確認できる安心感が生まれました。
2.モバイルディスプレイによる2画面での作業効率化
指導計画作成時の情報の見比べや、会議での画面共有をスムーズにするため、モバイルディスプレイを活用しました。75%の職員が「業務の時間や内容に変化があった」と実感し、生み出した余白を職員同士の「対話」につなげられるようにしました。
成果:ICTが「やらされるもの」から「使える道具」へ
取り組みを通して、ICTの活用状況だけでなく、職員の意識や業務の進め方にも変化が見られました。ICTが、保育を支えるための道具として、現場に定着し始めています。
公開:ショーケース見学会の開催

これらの実践をもとに、2025年12月18日、静岡県牧之原市の認定こども園みのり幼稚園にて、他園にICT活用の実践法を共有する「保育ICTラボ事業 ショーケース見学会」を開催しました。本見学会では、実践の共有を通して、参加者が「自園ならどう活用するか」を考えるきっかけとすることを目的としました。
見学会の内容
- 事業および実践の取り組み発表
- 園内見学・ICT活用の現場体験
- 園長・保育教諭によるトークセッション
- 参加者同士の意見交換
保育ICTラボ事業での取り組み発表
はじめに、事業の概要と、みのり幼稚園での実践内容について発表しました。ICTを使うこと自体を目的にするのではなく、保育の質向上につなげるためにどう活かすかを大切にしてきたことを紹介しました。
詳細な発表内容は、当日配布した資料PDF(本ページ最下部からダウンロード)でもご覧いただけます。
園内見学&ICT操作体験:実際の保育現場での活用を体感
続いて、園内を見学しながら、実際に保育ICTシステムやモバイルディスプレイを使っている様子を参加者にご覧いただきました。
参加者からは、
- 会議や打ち合わせで、複数人が同じ画面を見ながら話し合えること
- 過去の記録と現在の指導計画を並べて確認できること
- 「印刷しなくても話し合いができる」環境づくり
などが参考になったという声が聞かれました。
「どんな場面で、どんな負担が減り、どんな対話が生まれているのか」を具体的にイメージできる時間となりました。
トークセッション:園長と現場職員によるリアルな声


園長先生と保育教諭によるトークセッションでは、現場のリアルな声が共有されました。
- ICTに不安や抵抗感はなかったのか
- 実際に役立っている場面はどこか
- 生まれた時間を、どう保育の質向上につなげているのか
といったテーマについて、具体的なエピソードとともに語られました。
「ICTがあるから保育が楽になるのではなく、子どもと向き合う時間を大切にするために、やめること・変えることを選んできた」という園としての姿勢が印象的でした。
参加者同士の意見交換:園ごとの悩みから、次の一歩のヒントへ
後半は、参加者同士の意見交換の時間を設けました。意見交換の内容をまとめた資料をPDF(本ページ最下部からダウンロード)でご覧いただけます。
意見交換では、
- 業務負担を減らすために「やめたこと」「外部に頼んだこと」
- 連絡ツールと情報発信ツールを分ける工夫
- AIを文章作成の「下書き役」や「冷静な第三者」として使う工夫
など、さまざまな実践や悩みが共有されました。
特に、台風被害時の保護者連絡で「当日はパニックだったが、AIはいつでも冷静なので助けられた」という園長先生のエピソードには、多くの参加者が関心を示していました。
園ごとに状況は違っても、現場の先生たちと一緒に考え、小さな変化を積み重ねることが大切という共通認識が生まれた時間となりました。
まとめ:「自園ならどうするか」を考えるきっかけとして
今回の見学会は、「みのり幼稚園だからできた」事例を紹介する場ではなく、どの園でも、自園に合った形でICT活用を考えるためのヒントを持ち帰る場として開催しました。
ICTの導入がゴールではなく、保育の質を支えるために、
- 何を人が担い続けるのか
- どこをICTで支えるのか
を考え続けることが大切です。
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